作品の特徴 Feature
イスラエルを代表する抽象彫刻家。
自然と平和を志向した環境造形を一貫して制作し続けました。 環境芸術およびサイトスペシフィック彫刻における画期的作品となる「ネゲヴ記念碑」を制作して以降、イスラエル、ヨーロッパ、アメリカ、韓国、日本などで多くの環境彫刻を制作しました。 |
中でも印象的なパブリックアートは、スペインの地中海沿い、フランスとの国境に近いポルト・ボウという小さな町の海辺にある「パッサージュ ヴァルター・ベンヤミンへのオマージュ」で、ナチスの手から逃れたどり着いたこの終焉の地で自殺した、哲学者ベンヤミンを悼んだ作品です。
Passages – Homage to Walter Benjamin (1990-1994) – Dani Karavan
白い波が激しく打ち寄せる岸壁にコールテン鋼の細長い箱が貫通されており、その閉塞された中を海に向かって落ちるように階段を下りていくと、先をふさぐガラス板には、
「有名な人々よりも、名もない人々の記憶に敬意を払うほうが難しい」
という文章が刻まれています。
深く刻まれた世界的な戦争の歴史や局地的にも戦禍が長引くいま、この作品に対峙することで、様々な感情が湧き出てくることと思います。
略歴
年 | 内容 |
1930 | (12月7日)イスラエル・テルアビブで生まれる |
1943 |
ベツァレル美術アカデミー(エルサレム)で画家アルドンらに学ぶ
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1956 |
美術アカデミー(フィレンツェ)、グランド・ショーミエール・アカデミー(パリ)で学ぶ
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1960 |
イスラエルのインバル舞踊団、バットシェバ舞踊団、ニューヨークのマーサ・グラハム舞踊団などの舞台美術を担当(~1973年)
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1962 |
「コンクリートによる壁画レリーフ」(テルアビブ裁判所) などを制作
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1963 |
「ネゲヴ記念碑」(イスラエル ベエルシェバ)を制作(~1968年)
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1977 | 「キカール・レヴァナ(白い方形)」(テルアビブ)を制作 |
1978 |
レーザー光線を駆使した 「平和のための環境」 (イタリア フィレンツェ、プラト)を制作
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1979 | 「マアロット」(ケルン)を制作 |
1980 |
円柱広場、展望の塔、果樹園広場、12本の柱からなる「大都市軸」(パリ郊外セルジ・ポントワーズ)、「線1・2・3」(イタリア ヴィラ・チェッレ)を制作
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1982 | 「スクエア」(デンマーク ルイジアナ美術館)を制作 |
1983 |
パリ市立近代美術館とエッフェル塔、ラ・デファンスをレーザー光線で結ぶ 『エレクトラ展』を開催
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1987 | 「光の道」(韓国 ソウルオリンピック彫刻公園)を制作 |
1989 |
「人権の道」(ドイツ ニュルンベルクゲルマン民族博物館)を制作
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1990 |
『芸術が都市をひらく展』(日本の7美術館巡回)に出品
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1993 |
「寛容の庭 イツハク・ラビンへのオマージュ」(パリ ユネスコ本部庭園)、「ギュル強制収容所囚人へのオマージュ」(フランス ギュル)を制作
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1994 | 「パサージュ ヴァルター・ベンヤミンへのオマージュ」(スペイン ポルト・ボウ)を制作、『時間・空間・思索』展(日本の7美術館巡回) |
1995 | 「マアヤン」(宮城県美術館)を制作 |
1996 | |
1998 | 高松宮殿下記念世界文化賞 彫刻部門 受賞 |
1999 | 「隠された庭への道」(札幌芸術の森美術館)を制作 |
2000 | 「ベレシート(初めに)」(鹿児島 霧島アートの森)を制作 |
2006 | 「天文の塔」、「太陽の道」などからなる公園の設計を監修(室生山上公園芸術の森) |
2021 | (5月29日)イスラエル・テルアビブにて逝去 |
鑑賞できるパブリックアート
公式サイト
Dani Karavan – sculptor
リンク
備考