日系アメリカ人の世界的彫刻家イサム・ノグチの遺作が、心ある人たちの厚意によって日本の地で最も適した環境のもと、鑑賞することができます。
作品データ Data
作品名 Title | オンファロス OMPHALOS |
作家名 Artist | イサム・ノグチ Isamu Noguchi |
制作年 | 1988年 |
材質 | 庵治産花崗岩 |
寸法(H×W×D;cm) | 45 × 115 |
備考 |
作品について About
香川県高松市、庵治町という地域で産出された花崗岩を素材に、天頂部の穴から水がしたたり落ちて石肌の濃淡が見せる表情は、ガラスのピラミッドという無機的な空間で自然を静かに際立たせ、この場所に置かれるために制作されたかのような存在感を示します。
この作品は、当時モエレ沼公園の制作に札幌市とイサム・ノグチを引き合わせた、IT起業家の服部 裕之氏へ贈られました。
完成した際にイサム・ノグチは「服部氏の自社ビルに合う彫刻ができたので見るべきだと思う」と建設担当者へ電話をかけ、「社屋が完成されたらこれを置くといい」と贈られたこの作品を、服部氏は1988年本社屋2Fに設置しました。
ところがその2か月後にイサム・ノグチはニューヨークの大学病院で、モエレ沼公園の制作着手前に心不全により急逝してしまい、この作品が最晩年の遺作となります。
そして残された1枚の図面と模型を元にして札幌市とイサム・ノグチ財団の尽力により、2005年にモエレ沼公園が完成されましたが、それから8年後の2013年服部氏から寄贈され、現在の場所であるガラスのピラミッドの頂点真下に設置されました。
計りしえない価値を持つ作品を寄贈した服部氏は、作品移設の除幕式で「オンファロスを引き受けてくださった札幌市にお礼」と謝辞を伝えますが、それを受けて札幌市の担当者は「お礼を言うのはこちらの方でございます」と恐縮した、といわれています。
「オンファロス」とはギリシャ語で世界の中心を意味し、ギリシャのデルフィ遺跡・アポロン神殿にあったといわれる神託を受ける場所「地球のヘソ(オンファロス)」に由来しており、イサム・ノグチは作品を贈った服部氏へ、IT業界の中心を担う志を込めたのかもしれません。
設置場所 Location
北海道札幌市東区モエレ沼公園 モエレ沼公園 ガラスのピラミッド 1F展示室