19世紀を代表する具象彫刻家で『近代彫刻の父』と称される、オーギュスト・ロダンの初期作品が神戸市役所の1Fロビーに設置されています。
大作「考える人」、「地獄の門」の制作をフランスより依頼されるきっかけとなった作品です。
作品データ Data
作品名 Title | 青銅時代 |
作家名 Artist | オーギュスト・ロダン Auguste Rodin |
制作年 | 1876年 |
寸法(H×W×D;cm) | 181 × 70 × 66 |
備考 |
作品について About
当時まだ彫刻家として生計を立てることができていなかった30歳のオーギュスト・ロダンは、職を求め家族を連れてブリュッセル証券取引所の装飾職人としてベルギーへ渡りました。
しかしやがて親方と仲違いしてしまい、節約して貯めた資金でイタリア旅行に出かけ、そこで出会ったドナテッロとミケランジェロ作品に圧倒されます。
「アカデミズムの呪縛は、ミケランジェロの作品を見た時に消え失せた」と語り、イタリア旅行で得た情熱を糧にこの作品を制作、本格的に彫刻家としての活動を開始しました。
1877年、ロダンはブリュッセルの芸術家クラブに≪敗者≫のタイトルで彫刻作品を出品した。
同年、同じ作品をパリのサロンには≪青銅時代≫の名で発表した。
現在にまで伝えられているロダン制作の等身大の像としては、最初の作例である。発表時、この作品は、人体から直接型を取ったとして非難された。
作品名と主題の曖昧さもさることながら、余りにも自然で現実的な肉体に人々は不信を抱いたのである。ロダンは型取りの嫌疑をはらすため、モデルとなったオーギュスト・ネイの写真と彼から取った型を審査員に提出した。
3年後のパリのサロンで、ブロンズの≪青銅時代≫は3等賞を受賞し、国家買い上げとなった。
その数ヵ月後には、国から≪地獄の門≫制作の依頼を受けた。これは、≪青銅時代≫にまつわるスキャンダルで出発したロダンが、以後の作品の展開のみならず、彫刻家として成功の道を歩み始める一大転機となった。 ー 静岡県立美術館 ロダン館ページ より
1877年のブリュッセルの「芸術サークル」展にはこの彫刻の石膏像が《敗北者》という題で出品されたが、これは後に《目覚める人》あるいは《最初の人類》という名で呼ばれるように、神々の世界である黄金と白銀の時代を経て、人類がこの世に初めて生まれ出る青銅時代の最初の脈動が、覚めやらぬこの若者の姿をかりて表現されている。
『ロダンの言葉』を編集したポール・グセルは、ムードンのロダン邸の中でこの像を見て「目覚めきらぬこの若者の脚は、いまだ力なく、そして殆どゆらめくばかりである。
だが視線が昇って行くにつれて、その姿態がしっかりとしているのが見られる。……まさに行動を起こそうとする者の、半睡状態より生気への推移なのだ」と語っている。
(出典: 国立西洋美術館名作選. 東京, 国立西洋美術館, 2006. cat. no. 126)ー 国立西洋美術館作品ページ より
国内では国立西洋美術館と東京富士美術館に同じ作品が収蔵されていますが、パブリックアートとしてはこの作品だけとなります。
すぐ近くの神戸市立博物館前には「ジャン・ド・フィエンヌ」を鑑賞することができますので、ぜひ足を運んでみてください。
設置場所 Location
神戸市中央区加納町 神戸市役所1Fロビー