パブリックアートが数多く設置されている岡山県倉敷市のJR児島駅前に、山口 牧生先生の石彫作品が設置されています。
作品データ Data
作品名 Title | 平成のふたつ岩 |
作家名 Artist | 山口 牧生 Makio Yamaguchi |
制作年 | 1991年 |
材質 | 黒御影石 |
備考 |
作品について About
このパブリックアートはそばに万葉歌碑もあり民話に基づいた作品ですが、山口 牧生先生は京都大学で哲学を学び、自然への帰結に重きを置いて作品を制作、数々の抽象彫刻展の大賞を網羅し、1985年には権威ある彫刻賞の中原悌二郎賞を受賞しました。
平成のふたつ岩
豊臣秀吉が大阪城を築く事になったとき太閤は、全国の大名達に天下一の城にふさわしい石を差し出すように命じた。
ここ備前の国、柳田にも知らせが入った。
柳田の村人達が集まって相談したところ、柳田八幡宮にある石がいいということになった。しかし、その石は昔からこの地方の守り石で、村人達が困ったときに助けてくれる不思議な力をもっていた。次の日から石をわり始めたが、なかなかわれない。数日後にやっと二つにわれたかと思うとゴウゴウと音がして自身のように地面がゆれ動いた。村人達がさわいでいると、グニョグニョと大きな蛇が出てきた。「われわれは、この岩に何百年も前から住んでいる大蛇じゃ。本来なら、ばつとして食い殺すことろだが、今回は見のがしてやる。」と言って、どこへともなく消えていった。それ以来村人は二つにわれた岩を「太閤二つ岩」と名付けておまいりしたということだ。
この彫刻「平成のふたつ岩」は、右記の民話にもとずいて構想されたものである。
現代文明が直面している、自然破壊、環境汚染の深刻な問題に対する反省と問いかけを意図したものである。もちろん手で触れたり、よじのぼって腰かけたり、肌で触れて、自然(巨石)のもつぬくもり根源的生命力といったものを感知してもらうことをねらいとしている。
平成三年十二月 寄贈
国際ソロプチミスト児島ー作品銘板 より
山口 牧生先生は切り込みを入れた黒御影石に、赤色の顔料で着色するという独自の作風を確立し、自然と対峙し人間の精神性を追求した作品を多く制作しました。
また小林 陸一郎先生、増田 正和先生と環境造形Qを結成、共同制作したパブリックアートも多く、環境造形Qとしての実績も残しました。
岡山県倉敷市は倉敷まちかどの彫刻展やくらしき 緑と水のアート回遊など、合わせて50点以上のパブリックアートを設置する事業を通して、文化が調和した都市空間づくりを進めました。
設置場所 Location
岡山県倉敷市児島駅前 JR児島駅前 西口広場
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山口 牧生の他作品 Other Works