日本で初めての大型ニュータウン造成に伴い、整備された大阪千里の公園に50年以上前に設置された、風の彫刻家と世界的にも名高い新宮 晋先生制作のパブリックアートです。
作品データ Data
作品名 Title | 風の道 |
作家名 Artist | 新宮 晋 Susumu Shingu |
制作年 | 1970年 |
寸法(H×W×D;cm) | 2,000 × 700 × 800 |
備考 |
作品について About
小高い丘のさらに高さ20mのしっかりとした足場の上で、全体のフォルムから比較的小さな羽が特徴的な対比を見せ、作品のアクセントとなっています。
北千里公園のゆるやかな起伏を持った丘は、想像していた以上にこの町の人々に親しまれている。
女子学生が、丘を横切って学校に急ぐ、ボーイスカウトの健康な掛け声、子供用三段変速の自転車。
天気の良い日曜日ともなればボールや子供達や乳母車や家庭的な匂いでいっぱいになる。
この丘にそなわった風景を私はこわしたくなかったし、とても気に入った場所だった。
この芝生の丘に人々が接するときの背景にふさわしいもので、そしてちょっとしたアクセントになるものが出来ないだろうかと考えはじめていた。
そのためには、時間の経過や季節の変化を通じて私たちと同じように、生き生きとした存在でなければならない。
そして私たちの生活のリズムを与えてくれる「自然の使者」のような物が出来れば理想だと思った。
その時すでに私は個性を主張する芸術家ではなく、出来るだけ素直に丘の風景つまり人と自然のつながりをつかもうとする探究者になっていた。昨年の夏から秋、冬と周辺をめぐり遠くから丘を眺めて、あの風に動く塔の構想がまとまった。
あらゆる風の性格に応じて運動し変化する塔である。
これからの初夏の緑や8月の暑さや秋の雲が、そして健康な生活が似合うことを願っている。 ー制作のことば より
この作品は新宮 晋先生が恒久的に設置した最初のパブリックアートです。
1970年大阪万博会場内の人工湖に「フローティングサウンド」を制作する機会を得て、この作品を設置したのを皮切りに、多くのパブリックアートを国内外に設置しましたが、規模の大小を問わず一貫してキネティックアートと呼ばれる、風に動く作品を制作し続けました。
大阪の豊中で生まれた新宮 晋先生は80歳を超えた今も、兵庫県三田市のアトリエで精力的に制作を続けていて、パリでの個展や台湾に最新作を設置するなど、世界的に活躍をし続けています。
大阪や兵庫など、特に関西に多く新宮 晋先生のパブリックアートが設置されていますが、この作品同様「太陽の肖像」や「海からの便り」など見ごたえのある作品から、「小さなモニュメント 原田の森」などのさりげない作品まで、様々なパブリックアートを見比べることができます。
設置場所 Location
大阪府吹田市藤白台5丁目 千里北公園
周辺のパブリックアート
新宮 晋の他作品 Other Works
作家について Artist